業務委託契約というのは、特定の業務の遂行を外部に委託する契約の方法である。正社員として雇わなくてもいいので、社会保障費などが削減できる。業務の遂行が不要になれば、その時点で契約を打ち切ることもできるため、雇う側にしてみればメリットが大きい。ただ、そのメリットのみを不正に享受しようとすると、「偽装請負」という違法行為に該当してしまうことがあるのだ。
実際には雇用契約であるのに業務委託契約だと主張して人件費の削減を狙うのは法律違反に当たる。管理職ポストの業務については、その範囲が明確でないことが多い。したがって、管理職は通常、業務委託契約には馴染まないものだと考えて差し支えはない。気を付けなければ、偽装請負だと判定されてしまうこともあるのだ。ただ管理職と一口に言っても、その内容は様々である。業務内容によっては外部委託をすることが何ら問題のないものもあるのだ。そのアウトソーシングが適当かどうかは、個別具体的に判定をしていくしかない。
IT業界では、管理職ポストに外部のフリーランサーが入ることはよくある。経験豊富なフリーランサーにプロジェクトリーダーを任せるシーンは多く、これらはもちろん合法である。しかし、管理職は、残業代を出さなくてもいいと法律によって定められている。「名ばかり管理職」という、実際には残業代を出すべき人間に残業代を出さない違法行為も横行しているのが現状だ。もしも違法な労働状況にあると感じたときには、労働基準監督署に相談をしてみるのが先決だ。